Nightwish's Tuomas Holopainen & Anette Olzon

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Anette & Tuomas インタビュー(Metal-Rules.com、2007年5月31日)(抄訳)

Interview and pictures by Luxi Lahtinen

まず始めに、Nightwish の新しいシンガーになったことをお祝いします!
Anette: ありがとう!
Anette が公式にアナウンスされたとき、何を考えていましたか?Tuomas Holopainen
Tuomas: もう彼女を洞窟に閉じこめておく必要が無くなって安心してる。先週の金曜日(5月25日)にアルバムのミキシングが終わったんだ。アルバムは完成して、Anette も表に出ることが出来た。それにマスコミが彼女を歓迎してくれてよかったよ。最悪の場合、バーベキューにされてしまうんじゃないかと思ってたからね!(笑)
正式に決定してから4か月もの間、完全に秘密を守っていたわけですが、何かエピソードはありますか?
Tuomas: ブラインド・デートのようなものだった。バンドのテクニシャンと賭けをしてたんだけど、負けてしまったよ……そんなことはどうでもいいんだけどね! でもこれだけ長期間ずっと知られずにいたのは自分自身驚いてる。
シングル“Eva”のリリースが1週間早くなったのは、単純にイギリス人のリークのせい?
Tuomas: 何かミスがあったのか故意にリークしたのは分からないけど、あまり関わりたくないんだよね
今日の音楽産業において発売よりも先にインターネット上に流出しているという事実は非常に大きな問題だと思います。
Anette: そういう最近の風潮はとても悲しい。
“Eva”のカバー・アートについて教えてください。
Tuomas: この女の子は学校で無視されているんだ。彼女は根源的な善を象徴していて、何故このような仕打ちを受けるのか理解できていない。ただ行くべき学校を見つめるだけ。まさに無垢だ。今まで純粋な子ども時代について書いてきたけど、これはその裏側について書いている。そういう歌だよ。
ニュー・アルバムには13曲が収録されるそうですが、前作 Once との違いは何でしょう。
Tuomas: 全部で15曲を録音して、そのうち13曲が収録される。最も大きな違いは、横に座ってる、この歌声だと思う。音楽的にはそれほど変わってないと思うよ。ケルト楽器やソプラノ、ゴスペル、その他細かい部分に新しい要素を見出せるけど、急激な変化は望まなかった。何故なら彼女自身が大きな変化をもたらすからね。
オーケストラについて、前作と今作でどのような違いがありますか。
Tuomas: オーケストラのパートが少し増えただけで、それほど違いはないよ。今回のオーケストラは66名、クラシックのクワイアは33人、ゴスペルのクワイアは12人だ。
次作では14分にもなる大曲“The Poet and the Pendulum”が収録されますが、ボーカル・レコーディングはどうでしたか?Anette Olzon
Anette: レコーディングはとにかく良かった。そういう他ない。でも実際のところオーケストラのパートが多いから、この歌でボーカルの比率はそれほど大きくないの。もちろんとても巨大な音楽になっていて、当然歌の部分も大きくなっているから、ある意味チャレンジではあったかもしれない。一連の流れとかもね。まるで1曲に3~4曲が詰め込まれてるようなものだから。
Tuomas: ……5曲以上じゃないかな。
Anette: あっ、そうかも。とにかくこの歌には本当にたくさんの感情があるってこと。歌を覆う感情を表すために Marco とわたしはものすごいパワーを出す必要があった。だからビッグな歌になってると思う。
Nightwish の作品の中で最も野心的なものになっている?
Tuomas: 個人的に、自分の曲としてはナンバー1だと思ってる。長く、叙事詩的な曲を書くのは、4分の曲を書くよりも簡単だし。歌を4分に収めるのは、とても楽しい反面で非常に難しいんだ。この歌は今まで一番野心的な曲で、単なる歌じゃなく、まるで劇場の舞台のようなんだ。
サウンドトラックのファンだからこそ長大な叙事詩的な歌を書けるのかもしれませんね。
Tuomas: 確かにたくさんのインスピレーションを受けてる。Nightwish の曲はサウンドトラックだと考えるようにしてるんだ。“The Poet and the Pendulum”は、オーケストラがあって、合唱があって、ケルト風で、ソプラノの歌があって、Anette の歌があって、Marco のグロウルがあって、Jussi Tegelman 氏がハリウッドで作り上げた SE もある。とにかくビッグな曲であると言いたい。
カバーが1曲あるそうですが、誰の何という曲?
Tuomas: まだ明かせないんだ。映画のテーマ・ソングみたいなのだよ。まだ作者から許可を得てないんだけど、数週間後には判明すると思う。とても良い歌になってるから、ぜひ収録したいよ。
曲を書く過程で大変だったのはどんなことですか?
Tuomas: 作曲自体はとても簡単で、すらすらと出てきた。リハーサルもとても楽しかったし、どのパートも何も問題がなかった。シンガー選びだけは大変だった……のかな。彼女の歌入れも全く問題がなかった。
ニュー・アルバムの歌入れで難しいと思ったのは何ですか?
Anette: カバー曲がとても高いところまで必要だったから、かなり大変だった。上手く行ったけどね。もちろんこのアルバムのために初めて試すような歌い方もやったし。1曲だけ Tuomas がわたしの歌い方を変えさせた曲があったね。
Tuomas: 正直に言って、自分の頭の中と同じように歌ってもらえなくて……ってのは無かったよ。
Tuomas の思い描くようにならなかったとき、それをどのように伝えるんですか?
Anette: 代わりに彼が歌うの。タラララ~♪って。そうやって旋律を把握して、またやってみる。前にいた Alyson Avenue も同じやり方だった。とにかく、今までにやったことがないことをやるというのは大変。
自分一人で書いたのはどれくらいですか? 他のメンバーの貢献は?
Tuomas: Marco と Emppu がそれぞれ1曲書いている。詞はいつも通り全て自分で書いた。やり方は今までと変わらないよ。
Marco は歌の面でどれくらい貢献してますか?
Tuomas: 今までのアルバムよりたくさん聴いてもらえるはずだ。彼のソフトな一面も聴ける。驚いてもらえると思うよ。Marco のロマンティックな一面が見えるからね。ははは!
彼のバンド、Tarot も素晴らしいバラードがありますね。
Anette: その通りね。
今作を制作する上で妥協せざるを得なかった部分はありますか?
Tuomas: うーん……ABBA みたいに聞こえてしまう部分があって…
Anette: オーオーホーホー……何て言ったの、Tuomas? 何か聞こえたけど!(笑)
大丈夫、Tuomas のコメントはカットしておきます。
Anette: (笑)
Tuomas: ちょっとオーケストラだらけになりそうだったから、ロック・オリエンテッドな曲がいくつか作った。でもアルバムの雰囲気に合わなかったから削ったよ。それでも95%はアルバムに入ると言えると思うよ。
Anette はスウェーデン人で、バンド・メイトはフィンランド人です。フィンランド人のユーモアは、スウェーデン人と比較してどうなんです?
Anette: よく似てると思う。自分のユーモアは皮肉っぽいところがあるけど、それらは彼らもそうだから。わたしが何かを言うと、彼らはこっちを見て……
Tuomas: “Anette on juoppo svedu...”(Anette は飲んだくれのスウェーデン人だ)
Anette: わたしはホントに口が悪いから。汚いジョークとかも好きだし。初めて人と会うということは民族なんか関係なく、ただ最初に何を言えばいいか、何を言ってはいけないかを学んでおけばいいの。それでも今までジョークで誤解が生まれたりしたことはないわ。もちろん「ええええ……何言ってるのこの人!?」というのはあるけど、英語でやる以上は仕方がないしね。スウェーデンのジョークを伝えようとしても、英語にしたら意味が無くなっちゃうかもしれないけど、いざやってみるとフィンランドのジョークも意外と変わらなかったりする。
一番の話題はアイス・ホッケーなのでは? 特にスウェーデン対フィンランド戦とか……。
Anette: ええ、クールだわ。フィンランド対スウェーデンの試合はとても好き。最高のゲームになるから……ごほごほ、ちょっと真剣になり過ぎちゃった(笑)
では Nightwish の次のプランについて。
今週の土曜日(6月2日)にロサンゼルスに出発して、2本のビデオを撮る。また Antti Jokinen とやるんだ。14日にはアルバムのタイトルとトラックリストを発表する。
ツアーは10月6日にテルアビブから始まるわけですが、ここでやるのは初めてですね。
Tuomas: ちょっと怖いね……
Anette: 爆弾試験が起きませんように……最初はビックリしたけど、真面目な話、落ち着いていい場所だってみんなが言ってくれるし、楽しい街は大好きだから、終わってみれば素晴らしいコンサートになってると思う。
そして15日からはアメリカをツアーするわけですが、何故ヨーロッパではなくアメリカなのでしょう。
Tuomas: 理由は簡単、アメリカでの知名度が低いから。比較的小さい会場で彼女に歌ってもらってバンドにフィットさせるんだ。
Anette: わたしもいいアイディアだと思う。そうすることでバンドとして一体になって、ヨーロッパに戻ってもっと大きなショーをやるの。そうすることでもっと観客にアピールできるはず。
そのあとは北欧を回りますね。ホームタウンでプレイすると、その観客はより大きなエネルギーになるのでは?
Tuomas: ホームタウンの観客を前にプレイするのは結構怖いよ。
Anette: わたしも。アメリカのショーはそれほど怖くない。
Tuomas: そうだね。北欧のショーは忍び足で歩かないとダメだし。
Anette: 友達や家族のような知り合いが見に来ると、ステージではダメなの。
Tuomas: Nightwish はビッグになってしまったし……もちろん上には上がいるけど。だから完璧にこなすようにしないといけないし、その準備もね。
では2008年からの予定は?
Tuomas: まだ分からないけど、ヨーロッパ・ツアーとアメリカ・ツアーがあるだろう。日本とオーストラリアもだ。夏はもちろんフェスティバル。でも決まるのは先の話だから、まだ伝えられるのはないよ。
Anette は、以前の Nightwish の曲を覚えるのは大変ですか?
Anette: 新しい曲を覚えるのはいつだって大変。まずは新しい部分を出すようにすること、曲を完全に自分のものにすること、歌詞も覚えないと。もちろん自分の声を以前の Nightwish に合わせないとダメだし、それでいて自分自身のやり方で曲に合った歌い方をするのは本当に難しい。
Tuomas: 本当に彼女は昔の曲を上手く歌えるんだ。オーディションのデモが既にそうだった。ライブでは Anette がデモで歌っていたようにプレイすることになると思うよ。

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