Marco Interview (Pretties For You)

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Marcoインタビュー (Pretties For You) (2004年4月)

驚愕のニューアルバム“Once”発売に伴い、レコーディングされた野心的で様々な要素を持つこのアルバムについての話をベーシストでボーカリストでもあるMarco Hietalaに聞くチャンスを得た。

新曲を書き始めた時期、レコーディングを開始した時期はいつになりますか?

昨年の夏、Bloodstock(イギリス)なんかでフェスティバルに出演してたんだが、Tuomasはこの頃から書いていたよ。彼はツアーが終わるまでに9~10曲くらい書き上げたけど、その後1ヶ月くらいオフを取ってしばらくは何もしていなかった。バンド全体で作業を始めたのは10月だったかな!? たっぷりと時間をかけてみんなでアレンジ作業を行い、バンドの音にしていったんだ。デモみたいのを録音してそれをまたすぐにアレンジしていって、レコーディングを始めたのは11月の終わりからだ。

Cool。レコーディングはどこで行われたんですか?

他のみんなの故郷の東フィンランドのほうで始めて、1週間くらいかけてドラムと一緒に、デモに入ったベース・ラインをいじっていたんだけど、レコーディングが始まったのはHelsinkiのFinvoxx studiosだ。そのあとKiteeに移動して、そこに移動してからはクリスマスまでの1週間ベースをプレイした。Emppuはギターをいくつか録り終えていてたけど、そこでも俺に続いてレコーディングした。だから実際には2ヶ所でレコーディングしたんだ。TuomasのキーボードはKiteeのスタジオでちょっとだけやって、残りのほとんどをHelsinkiに戻ってからやり、ミキシングとボーカルのレコーディングも行った。ボーカルはFinvoxxでやったんだ。1~2日置いてボーカルを録る日を1日取った。Tarjaは多分そこで2週間くらいかけてレコーディングした。簡単に言うと、あっちで少し、そっちで少し、ってことだ!

たった今アルバムを聴き終えたんですが、今までとのアルバムとはどう変わっていると言えますか?

基本的にギター、ドラムが変わっていると思う。でかいパンチがあって、もっとヘヴィなリフになっている。たぶん最も大きな違いは今まで全てのアルバムと比べて最も野心的だということだろうね。

ええ、完全に同意しますよ。

ああ、バラエティと音楽的要素の全てがあるから、オーケストレーションやクワイア、全てのおかげで違った雰囲気が出ている。傷つく人もいるかもしれないが……自分自身が傷ついてしまったんだけど!!! リハーサルやデモの段階で「これはやりすぎなんじゃ?」って思ってしまってたんだよ。でも今完成品を聴くと、すぐに理解でき把握できた。でも全曲にさまざまな事があってバラエティもあるから、そこから理解出来るようになるまでにはかなり時間がかかるかもしれないね。

そうです。このアルバムに本当に「入り込む」ためには何度も聴く必要があるだろうと言おうと思っていました。

うん、そうだね。多くの人がそうだろう。もちろん“Wish I Had An Angel”“Nemo”は分かりやすいと思う。“Creek Mary's Blood”や“Ghost Love Score”なんかは何度か聴く必要がある。

その2曲はとてもヘヴィな曲ですね! とても複雑でとても多くの要素が入っていますよね?

その通りだ! ストーリーを追い、全てを理解しようとするなら、歌詞をチェックする必要もあるよ。

あなたも言うように、Tuomasは曲を書く主なインスピレーションで……

そう、彼がメインさ :O)

彼がですね!! でもあなたもアルバムCentury Childで1曲書いていますね。このアルバムでも努めて書こうとしたのでしょうか。

そう。最後の曲“Higher Than Hope”は俺が書いた曲の中でもマッチしてたんだ。アコースティックのイントロを作り、自分でプレイした。ヴァースとコーラスを作って、ギター全てと、ヴァースとコーラスと中間部のCパートの間にあるブリッジのキーボード・パートをアレンジしたけど、本当に上手くマッチしたんだよ。Tuomasはもちろん歌詞の全てを書き、曲に最高にフィットした。あと俺は“Romanticide”のリフを1つ、Emppuが“Siren”のギターのリフを書いた。バンドのメンバーが書いたパートによくマッチするのもたくさんあったよ。さっきも言ったように、みんなが溜め込んだアイデアを元にアレンジ・セッションを行い、同時にバンドらしくしていったんだ。でも主な曲の全てと、全ての歌詞、全部Tuomasが元になっているんだ。

ファンのために、典型的なNightwishタイプの曲を書くこともできますか?

んー、Tuomasは家では古いピアノを弾くし、ツアー中も部屋にシンセを持ち込んでるみたいだから、そういうこともある。最近彼は8トラックのハードディスク・レコーダーを買って、ドラム・マシンも使い、ギターも自分でたくさん弾いてる。曲の基本になるようなデモも家でたくさん作ってるし。こういうやり方はバンドにとっては初めてだったんだけど、そういう曲の骨格を俺たちに提示してきたんだ。だからリハーサルをする前にそれらを基に素晴らしいアイデアを得ることができた。それに、彼は効果的にするためにと妙なチューニングを使っていたりして、とてもプレイできそうにないパートも納められていたんだ! おかげでバンド全員でリハーサルをする前にどうすればいいか知ることができた。Nightwishらしくないやり方ではあったけど、このアルバムではそういう風にできて、これからもそうしていくことになりそうだ。簡単だったしね。自分のレコーディングの時は別のスタジオにいてデモを録ってはTuomasが使えるように少しずつ渡していたよ。

あなたの“Higher Than Hope”は何がインスピレーションになりましたか?

インスピレーション、まずはコーラス・ラインからだったと思う。これは大きなことだと思うけど(! )。ある種の曲を作ろうとしていたんだ。次にヴァースのアコースティック・ギターを思いついて、それをつないでいった。そのあとイントロを書き、ヴァースとコーラスをつなぐブリッジを書いたけど、少々おかしかったからそのブリッジは使われなかったよ!! バンドが作ろうとする「世界」に合いそうになかったから、結局アコースティックのイントロも合うように少し変えたんだ。

試しに歌詞も書いてみて、デモでも歌ってみた。メロディの全てと歌の持つある種の動機を完成させるために、組み合わせようとしたんだ。試しに書いた歌詞はまだ取ってあるから、ソロ・アルバムとかTarotのアルバムでも使ってみるかもしれない。

Ohh cool、捨ててしまうわけではないんですね?

うん、気に入ってるからね。捨てないでそのうちどこかで使おうと思ってるよ。

Tuomasは雰囲気を得るため、縦横無尽に世界を描くために、自分で一連の歌詞を取っておくんだよ。彼はアルバムの歌詞を全て書きたがってるし、俺もちゃんとそれを理解している。バンドが成功している理由のひとつにそれがあると思うし、みんなも彼の書くダークでロマンティックな歌詞を好きだからだ。

ええ、それには同意しますよ。Nightwishにまず一番に惹かれた理由の一つがそれですからね。実際それがNightwishの違う部分です。音楽の持つパワーがTarjaのオペラティックで特異なボーカルと結合してますし。他にない組み合わせが上手く機能しています。

特に最近、バンドは根底を本当にラフでヘヴィなメタルで支えているし、オーケストレーション、クワイア、キーボードの雰囲気も持っているし、清澄で繊細なTarjaの声と歌詞がある。今日までにバンドが作り上げてきたコントラストがそれだろうね。

このアルバムではオーケストラとクワイアのアレンジを手がけたPip Williamsと一緒に作業をしましたが、彼と仕事をできてよかったですか? 彼と作業をするのもそうですが、最近もロード・オブ・ザ・リングの3作目も手がけていたほど有名なオーケストラと作業をするのは?

俺自身は一緒にはやってないんだ。Tuomasがその場にいて、プロデューサーでエンジニアのMiiko Karmilaも一緒だった。オーケストラが入る曲をアレンジするために誰かを呼ぶべきだという話になった時、そのMikkoはPip Williamsのような人を前から知ってたから、Mikkoはそれを思い出してTuomasに連絡を取ってみようって言ったんだ。それで実現したんだ。みんなから聞いたんだけど、Pipはすぐに興味を持ってくれてかなり乗り気になったらしいんだ。よく落としたと思うよ。レコーディングも本当にグレートだとも言っていた。こんなにプロフェッショナルでクリアな素晴らしい音だとは期待してなかっただろうし、大きな一歩になったよ。前回の“Century Child”はフィンランドのオーケストラ、フィンランドの指揮者とアレンジャーを使って、気に入っていたんだけど、今回はもっと明快に、もっと聴きやすくなった。同時にエコーなんてのもなくてすごく生々しいサウンドをバンドに残してくれたけど、本当にハードにヒットし、素晴らしいコンビネーションになっていると思う。

さらに“Creek Mary's Blood”ではネイティヴ・アメリカン・インディアンのJohn Two-Hawksともコラボレートしています。

これはTuomasのアイディアだと思う。彼の頭に歌詞が出来てから、ネイティヴ・アメリカンが服従させられ征服された歴史や、戦争という法やそれらを通じた悲劇をずっと表現しようとしていた。それで彼のホームページから連絡を取り、メールで興味を持っているかどうか聞いたんだ。確か最初はフルートを吹くだけだったと思う。でも彼はシンガーでもあるから結局いくつか歌うことにもなったんだ。そして長いナレーションも彼の母国語であるLakota語で入れた。スタジオで一緒になれなかったのは最悪だったよ。そのとき他のバンドのギグが2回あってHelsinkiにいなかったからね。JohnはHelsinkiに1週間いたけど、彼と話すチャンスが全くなかった。俺たちの行く予定になる前に2分ほどバックステージに来てくれて、Helloって言って握手することしか出来なかった。残念だよ。

アルバムのタイトルを思いついたのは誰ですか? 何故“ONCE”というタイトルを選んだんですか?

これもTuomasのアイディアだよ。“ONCE”という言葉は様々な意味を持ちつつ、このアルバムに非常に多く出て来る。何故この単語がアルバムにタイトルに選ばれたのかを理解するために、歌詞に注目して聴いてみるのがいいかもしれない。そうすればその言葉のポイントや背景が分かるだろう。アルバムを聴くときの理解も深まるだろうね。

Markus Mayerがまたこのアルバムをアートワークを担当しています。こういうデザインにしたインスピレーションはありますか。何故このアートワークを選択したのでしょう?

彼がデザインを送ってくれた時、俺たちは「OK、これだよ!」って言ったんだ。これを見た全員がグレートだと思った。あと、新しい方向性もあると思う。他のカバーもあったんだけど、ちょっと無邪気すぎる感じで理解できなかった。でもTuomasはそっちのほうも気に入って……みんな言うように彼がメインだから……彼はcoolだよ!!:O) でも俺はそっちのほうはちょっとお高く止まってる気がしたんだ。

これは非常にパワフルなカバーだと思います……

Uhmmm、そうだね、このアルバムが持つ雰囲気に本当によくフィットしていると思うよ。

ニュー・シングル“Nemo”もリリースされますし、先日ビデオも撮影されました。撮影はどうでしたか、あの「雪」の中での撮影は楽しめましたか?

真っ青なホールに、真っ白な雪原を作って撮影をしたんだ。巨大なスノー・マシーンが合成石鹸みたいな雪を吹き出すもんだから、どうなるのか心配になったよ。ワン・テイクごとにベースを拭いてた。湿気もすごかったけど、どうやら俺のベースは生還してくれたようで、撮影後もギグをすることが出来た!

ビデオは本当にプロの撮影で、彼らは本当に精通していた! 俺の撮影の番が終わったあと、10テイクくらいは同じポジションで撮っていた。ライトはこう置こうとか、照明はこうしよう、カメラはこう動かそう、というのがよく分かっていて、それも1~2テイクくらいで終わったよ。その後30分か1時間休んでからセットをアレンジして、全員でまた撮影した。俺が映っていない部分やTarjaもJukkaも全然映ってない部分は、君も加工していない絵をモニターで見てるけど、本当によく出来ていて、色のトーンや全てがよく出来ている。ストーリーが持っている効果が上手く出る事を強く願っているよ。でも監督のAntti Jokinenには完全な信頼を置いている。彼はまさにプロフェッショナルで、過去にも価値のある仕事をたくさん残しているしね。

アルバムのリリースにともなくスペシャル・ギグをホームタウンで行いますね。何を期待していますか? ファンが期待できる特別なものはありますか?

どんなパイロを使うことになるのか分からないけど、もちろん本当に壮大で大きなセットになるんだろう。インタビューなども答えつつプロモーション・ツアーをすることになる。とりあえず来週は家に帰るんだけど、Tuomasは次の週も残り、Jukkaも付いていくのかな、Tarjaも1週間はそうなるね。2~3週間リハーサルをした後、ギグということになる。全てを仕事に割くことになるんだ!!

夏はどのような計画ですか?

どういうスケジュールか分からないけど、フェスティバルをたくさん。オランダのDynamo festivalにも出演するし、Sweden Rockもいいラインアップだ!

8~9月はアメリカでは初めての大きなツアーを行うんですよね?

ああ、8月中旬から2~3週間、9月初旬まで――9月6日かそれくらいまでだね。すごくエキサイトしているんだ。前回のツアーでもAtlantaとNew Yorkで2回ギグをしたんだけど、都市部ではファンも盛り上がってるように感じたから、次のツアーでも望みは大きい。気に入ってくれるように望もう!!

期待していますか?

そうだよ。噴出している世界情勢というのもあるけど、だからと言って俺たちに何が出来るだろうか?

その後の年内の予定はどうなっていますか?

あとは……err、1~2週間オフを取って、フィンランド国内で長い間行っていなかった町や違った町で短いツアーを行う。ちょっと休んで中央ヨーロッパ、ドイツ、フランス、おそらくスペイン、そして東ヨーロッパの町も回るかもしれない! その後は南アメリカ、メキシコ、これは12月終わりに3~4週間だ。クリスマスから年始には家族と一緒に休暇をとる。1月からの予定はまだだけど、日本と、もしかしたらオーストラリアやニュージーランドにも行ってみようか、という計画もあるんだ。

来年半ばくらいまでの予定はもう立っているんじゃないんですか?

もちろんそうだけど、これは誰もが目指す種の仕事だよ。やることはたくさんある。幸い大体2~3週間ごとに1~2週間は休みを取れるんだ。自分自身を燃やし尽くしたくないからね。回復させる時間をとるのはいいことだ。

時間をとり、家族とも一緒になって、体を冷ますのもそうですね。

そう、Jukkaには赤ちゃんもいるし、俺にも双子の子がいるしね。一緒にいれる時間があるのはいいことだよ。

さて、時間を取ってお話いただいたことに感謝します。ニューアルバムの成功と、ここヨーロッパやアメリカでのツアーでの成功をお祈りします。

楽しみだよ! 本当にありがとう。君たちの成功もお祈りするよ。

ありがとう。またツアーの時にお会いできるといいですね。

そうだね。そうしたいね。

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