Imaginarium - Interviews - "This project is as interesting as it gets!"

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ディレクター Stobe Harju 氏インタビュー「このプロジェクトは本当に面白い!」

TV ゲーム“Alan Wake”や多くのミュージック・ビデオの監督を手がけたことで有名な Stobe Harju は、“The Islander”のビデオ制作で Nightwish のメンバーと出会った。そして一連の成功は“Imaginarium”と名付けられる長編映画の誕生へと繋がったのだ。

“Imaginarium”プロジェクトは、どのようにして始まったのですか?

2008年夏の終わりに Tuomas が電話してきたんです。「やあ、Stobe。何本かビデオを撮ってもらいたいんだけど、話す時間はあるかい?実は新しいアルバムで、曲ごとにそれぞれビデオを撮影するんだ」って感じで。気をおかしくした可哀想な男の子だと思ってしまいました。

それからミーティングを開いて、曲名と Tuomas が持っている曲のイメージを教えてもらいました。「これはジェットコースターに乗るような」とかそんな感じで。幸い我々のビジョンは本当に似た方向性で、Tuomas が提示したオリジナルのアイディアに基づいて時間をかけて練り込んで詳細まで煮詰めるのも難しくありませんでした。数ヶ月をかけて約70ページに及ぶイラストや何かを書き上げ、それは Tuomas のアイディアを含む1本の長大な物語の初版になっていったのです。

Tuomas にそれを見てもらうと、自分が思い描いていたそのものだととても喜んでくれ、二人で脚本を磨き上げていきました。半年が過ぎ、自身の頭の中で更に磨きをかけていると、あるアイディアを聞いてもらわなければならないと思いました。なぜ物語と映像を分ける必要があるのか? なぜ1本の映画を作らないのか? だってそれぞれの物語はこんなにもぴったりと合っているんです。そして我々は決意しました。その時はおかしかったかもしれませんし、狂ってさえいたのかもしれない。だってこんなことは他に誰もやったことがないんです。でも基本的な手応えは最高でした。こんな興味深いことは他にありません。

“Imaginarium”はまさに初の試みです。しかし敢えて言うなら何が比較対象になるでしょう?

銃で脅されるとすれば、ムーランルージュと Pink Floyd “The Wal” が交わる位置と言えるかもしれません。でもこの映画は他にないものです。“Imaginarium” は純粋なファンタジー、そして Nightwish が示す全てを完全に包み込むものです。個人的な意見としては、“Imaginarium” は詩的に描写するべき音楽を映像的に再表現したものです。言い換えれば、このアイディアは可能な限り Nightwish のあるべき映像を作ること。アルバムと映画は同時に発展しています(つまり、映像は音楽からインスパイアされたものではないですし、逆もまた然り)から、これは実現可能です。誰かが言うように音楽は視覚的要素を伴わないなんてこともないし、音楽から映像を作ることは素晴らしいものになるでしょう。曲の題名と当初のコンセプトを拡げ、そこから発展させていきました。詞と音は共に書き上げてきた長編にインスパイアされています。そして筋の詳細は曲にインスパイアされています。一つずつステップを上がっていますよ。

現時点でどこまで“Imaginarium”のプロットを明かせますか?

今は大まかなアウトラインしかお話しできません。一本道のピーター・パンみたいな物語ではなく、道筋はたくさんあります。我々は新鮮な観点と主人公を求めていました。結果的に出てきたのは一人の老人と、彼にまつわる物語です。この映画において彼の今の人生は子供時代の空想と老いるまで歩んだ道が混合していますが、人が成長して大人になるのはそれまで持っていた想像力が押し殺されてからであると我々も思っているのではないでしょうか。大人になってしまったら、裏山に積もった雪がかつては世界の最高峰に思えた頃など、もはや思い出すことさえ出来ません。象徴化は時に困難なものになりますが、Nightwish の音楽もまた容易くはありません! Nightwish は様々な解釈を許す作品ですが、映画もまた例外ではありません。

映画の中の映像を説明いただけますか?

今までの仕事は Tim Burton (ティム・バートン)などと比較できるものですが、今回より影響を受けているのは Salvador Dali (サルヴァドール・ダリ)ですし、忘れてならないのはディズニーの雰囲気です。最終結果はバートンの狂った色彩の世界ではなく、確実にダリのシュールレアリズムによるものです。CGもふんだんに使われます ―― 私は元々アニメーターですし、SFXも好きですから、これは自然な流れです。

私は自慢せねばいけないことがあるので言わせてもらうと、もっと野心的なコスチューム・デザイン、セット・デザイン、ポスプロ、そしてビジュアルをフィンランドの映画で見せてほしいと思っています。要するに、自分の展望が具現化するのであれば、きっと大変なアトラクションが実現するだろうということです!

映画版とアルバム版で、音楽の違いがあるのかどうかにも興味があります。

Tuomas は音楽を変更してもいいと許可をくれています。もちろん限られた範囲で彼の許諾の範囲内ですが、映画のスコアはアルバムの音楽とは違うものが出てくるかもしれません。また台詞の途中では Nightwish の音楽の代わりとして間奏曲が聴けるかもしれませんが、そこは Petri Alanko が作曲する予定です。つまり、Tuomas が音楽の制作総指揮を務めるのはもちろんですが、映画の中に音楽のバリエーションが存在することも認めています。ただしそれは Petri Alanko が作曲することになるのですが、もちろん Nightwish に強くインスパイアされた楽曲と言うことです。

台詞の背景で聞こえる Nightwish の歌が2曲ありますが、それは映画音楽のように使われています。そうした瞬間において音楽はやはり物語を進行させる役割を担うわけです。その間に台詞がなく間が空いていたとしてもです。

映画を完成させるまでのスケジュールは厳しいですか?

まずはアルバムが2012年初頭に公開されると思いますが、映画は未定です。時間を無駄にしたくはありませんが、また急ぎたくもありません。適切なペースで進めていきたいと思っています。“Alan Wake”では90分のアニメを30週間で制作しました。最初は不可能な計画と思っても、自分にとっては倍の時間を手に入れていたなんてことあります。基本的にその質問への答えは、平日18時間労働をしながら十分な品質の作品を完成し続けることが出来るかどうかです……。

幸い我々には強い団結心があり、優れた制作会社で、独創性のあるプロデューサー Markus Selin とバンド Nightwish がいて、少なくともここまでのところは最高!

Nightwish.com