Studio 7 : Angel Studios, London

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スタジオ 7 : ロンドンのエンジェル・スタジオ

ロンドンはイズリングトンにあるエンジェル・スタジオに到着したのは、バレンタイン・デーの夜。そこでスタジオのエンジニアである Steve Price と Mat Batram の大歓迎を受けた。明日のレコーディングで 53 人のオーケストラとの 3 時間に及ぶ録音が行われるが、彼らは既に準備万端だ。演奏する彼らも“Once”から“Dark Passion Play”のセッションで顔馴染みの面々ばかり。編曲者である Pip Williams もホテルで合流し、卓越したミュージシャンシップを目撃できる長い一週間を前にして、興奮が収まらなかった。

火曜日の朝、セッション・ミュージシャンたちと顔を合わせた我々に、温かな再会と郷愁の空気が周りを包む。まずは“Goat's Liver”(仮題です……恐らくは)。壮大なパートが続くため、大きなオーケストラを必要とする。彼らのミュージシャンシップは僕を驚かせて止まない。聞いた事のない曲を、リハーサルなしに、譜面を見据えながらというものの、それが想像しうる最も難しい運指であっても、たった1~ 2度だけ通してここまでできるのだ。この上ない眺め -- SF 映画か何かのようだ。ただ尊敬。

Thomas Bowes 氏はコンサート・マスターとして素晴らしい仕事をしたし、 James Shearman は一流の指揮者。そしてもう一度述べよう、 Pip のアレンジは最高だ。過去2作を超える、さらなる努力と思慮が、ここに投じられている。

水曜日、オーケストラのレコーディングが続けられ、この日の最後は 20 人のストリングスやハープを録音。そしてここで新たに仮題が付けらた。“The Birdie Song”、“Teriyaki”、“Haunted Mansion Ride”。

木曜日はパーカッションやエスニック・ドラムの日。今回はミックス作業を容易にするために太鼓類はオーケストラと別々に録音する事に決めた。パーカッショニストが叩く音の一部が鼓膜に刺さるかもしれなかったからね。

この日のハイライトは Paul Clarvis 氏と Stephen Henderson 氏をエスニック・パーカッションの倉庫に連れて行ったとき。 Paul が叩いた 350 年前の和太鼓は、自分が望んでいたサウンド。 5フィートのハンマー、それにゴミ箱も同様だ。これらをまとめて3分のインストゥルメンタルに仕立て、それが狂気の感情という結果。息を飲むような出来になった。

金曜日は合唱隊を呼んである。 The Metro Voices が建物に入ってくると、再び懐かしい気持ちになってくる。13曲を歌うのに7時間もかからず。素晴らしい。本当にすごい。

子供の合唱団は、今までに Nightwish が試してこなかったものの一つで、これは土曜の朝から行われた。素敵なメリー・ポピンズのような Lynda Richardson 率いる The Young Musicians London には、本当に胸を打たれた。子供たちには大きな才能があり、いわば未来のスーパースター・ミュージシャン。彼らがアルバムに参加してくれたのを誇りに思う。その声は美しく、無垢で、ある意味とてもとても恐ろしいくらい。まさしく我々が求めていたものだった。

そび夜、 2人のゲスト・ミュージシャンが訪れた。ハルダンゲル・フィドルを携えた Dermot Crehan 氏(ロード・オブ・ザ・リングで有名)と ズルナを携えた Dirk Campbell 氏。両者とも驚くべき演奏で、彼らが加わった2曲は、良いアクセントが加わった。

全てのセッション・ミュージシャン、 Angel Studio のスタッフ、 Pip 、 James 、 Thomas 、 Lynda 、写譜屋の Dick 、合唱隊の Jenny 、皆さまに慎ましく感謝を述べます。一緒に仕事ができたこと、多大な才と魂を“Imaginarium”に込めることができたこと、本当に誇りです!

また別れるのが寂しいですが、次作もできるだけ早くに実現できるようにします。

Tuomas, Hilton Islington 20.2.2011

写真集

Written by Tuomas Holopainen on February 20, 2011