Studio 6 : Vocal recordings

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スタジオ 6:2007年3月2~21日 ボーカル・レコーディング

2007年3月2日

さて、いよいよ新しいボーカリストである私がニュー・アルバムのためのボーカル・レコーディングについてスタジオ日記を書く番。ニュー・アルバムのレコーディングに至るまでの道のりは、メンバーやエンジニアのみんなが案内してくれたこの素敵なスタジオで終わりを迎える。既に夜だったので私たちはディナーを取り、明日以降に始まる大仕事に向けて休息を取った。

2007年3月3日

レコーディングの事実上の初日は、9時30分の素敵な朝食をしっかりと取ることで始まった。そして私の声がよく録れるようにマイクを、そして声が聞こえるようにモニターをセッティングした。1曲目、これはいい「キック」を持ったアップテンポな歌で、私と Marco で歌を分け合っている。これはスムーズに行き、数時間で終わらせることが出来た。続いて別の曲もレコーディングすることになったので、新しいエネルギーを蓄えるため少し昼寝をする。 ディナーを取って2曲目のレコーディングを再開。この歌はまた別の歌のテクニックを求められ、注意と集中が必要でしかも多くの心を込めなくてはいけない。なのでひとまずヴァースに何時間か掛けてその日を終わらせ、みんな休息を取ることにした。ここは日常と変わらない心地よさがあってとても素晴らしい場所だ。それにパパラッチがここ数日周りをうろうろしていたし……。あと、みんな怖い映画に夢中になっていたせいで毎晩見続けていたから、自分の神経が休まるまで数週間かかったことを言っておかないといけない…… ;=)

2007年3月4日

早起きして気分が良く、朝の散歩は気持ちよかった。景色を楽しんでから朝食を取る。それからウォーミング・アップのため少しだけ歌を試す。2曲目のハーモニーを録音していくが、これもとてもスムーズに進行した。午後は休憩して外出、みんなとても楽しく、いいリラックスになり、エンジンはフル・スロットル……最高 ;=)

夜が更け始めた頃、“Eva”に取りかかる。これは5月にリリースされる最初の曲になる。と言ってもダウンロードだけだけど。これは感情が多く込められていて、穏やかで物悲しい歌。とても上手く行き、充実した1日と呼ぶに相応しいものになった。今日も明かりを点けたまま眠る。あのホラー映画のせいだ……。

2007年3月5日

朝食を取ってから“Eva”にハーモニーを付ける作業を再開、これは特別な雰囲気を加えて曲を完璧なものにするためだ。この歌が何故 Nightwish として私の声をみんなに聴いてもらう最初の曲に選ばれたのかとてもよく分かったし、私と同じようにこの歌で感動してもらえると思う……本当に素晴らしい歌だから! 今までのレコーディングが全て驚くほどスムーズに進んだので、すぐにもう1曲とても美しい曲の作業も始めた。

この曲はオーケストラと合唱を加えることで素晴らしい出来になるだろう。歌うたびに喜びを覚える。この午後は心から楽しめた。そして夜は一人で休息を取る。たくさんの感情を込めて歌うということはそれだけたくさん表へ露出させるということだ。今必要なのはほんの少しの笑い。だから今夜はテレビで楽しい番組を見る……ホラー映画はもうたくさん……。

2007年3月6日

ゆっくりと落ち着いた夜を過ごして気分は楽になった。午後のランチを取ってから昨夜の歌にハーモニーを付け始め、ディナーまでに終わらせる。ディナーが終わったら5曲目に。これもまた Marco と一緒に歌う曲で、私はリード・パートを歌ってこの日を終えた。

2007年3月7日

携帯電話の SMS のせいで早起きする羽目に……arrghhh……また8時20分……puiihhh……朝食の前にシャワーを浴びるため起きることにした。少し疲れていたので体を目覚めさせるために長めの散歩に行くことに決定。いい気分でとてもいいエクササイズになった。いつもこのように良い感じになるし、おかげで後で歌うときも集中することが出来た。今日は Marco がやってきて何曲か録音をする。 私はただ座って彼が取りかかるのを見るだけだ。いつも通り本当に素晴らしい歌声で、彼の歌を聴けるのは常に喜びだ。この歌は大きなパワーを持ち、Marco がやるべき事を終えたのち、私がコーラスやその他あちこちにハーモニーを乗せる。 その後はディナーを取って声を休ませる。私たちはこの曲にとてつもない量のハーモニーを加え、そのせいで頭の中は音符だらけになってめまいを起こしそうになった…… ;=) でも無事に完了し、休息した後に Marco は次の曲を歌い始める。 これはケルトの雰囲気を持つアコースティックっぽい曲で、Marco はこの曲も完璧にやってのけた。私はバックグラウンド・ボーカルを加えて、Marco の仕事は終わった。

2007年3月8日

今日は Marco が自分の歌の続きをレコーディングしているので、のんびりと彼の姿を眺めながら歌声を堪能できるという素敵な日。これはとても怒りに満ちた歌で、みんなも知っての通り彼の歌にはとてもパワーがあるから、ぴったり合っている……。午後遅く彼は帰っていき、私は14分に及ぶ傑作に取りかかり始める。最初のヴァースの録音を始め、順調に終わる。夜はのんびりディナーを取ったりしてから、ベッドに入るまでの時間に今までにレコーディングした曲を聞き返した。もう7曲も終わったんだ! どれも良く出来ていて、これなら明日から始まるちょっとしたヴァケーションも堪能できそうだと思えた。そう、私たちは週末はオフにして日曜の午後に再開することに決めた。

2007年3月11日

素敵な週末を過ごした後は再び作業に戻る。14分の曲を再開し、1日を費やす。体も声も良くリラックスして、ビジネスに戻るときはいつでも戻れる。だからみんな気楽にやっている。自分のパートも少しずつ完成していって、あとは Marco の歌を付け加えるだけだ。パワー、エモーション、たおやかさ、荒々しさ、 この曲は多くの異なった要素を持っている。全てのコンピネーションはこの曲を完全無欠の集合体として、まるで映画のよう。そのうちみんなに聴いて貰えるはず……。素晴らしき困難の日を終え、ゆっくりしてからベッドへ向かった。

2007年3月12日

今日レコーディングした歌は、最初はボーナス・トラックとしてレコーディングを始めたんだけど、終わってみたらみんなアルバムに入れる必要性を感じ始めていた…… ;=) この曲はとてもハッピーでメロディアスな曲になっていて、聴いたらすぐに頭に残るコーラスを持ってる。何時間か掛けてこの歌を終わらせて午後になるとジャーナリストが訪ねてきていて、新曲を何曲か聴いてから私はインタビューを受けた。彼は最高の人で、一緒に騒ぎ続けて気付いたら夜中だった……このジャーナリストと Tuomas と一緒に歌って…… アルバムで一番アグレッシヴな曲でグロウルが聴けるはず……とても楽しいレコーディングの夜で、たっぷりの笑いを保証できるよ…… ;=)

2007年3月13日

ハードなパーティの夜は終わり、私たちは疲れていたけど気持ちは楽だった。今日は綺麗にメイクをして、綺麗な服を着て、インタビューに答えて、写真撮影をしなきゃいけない。 寝不足でちょっとくまができてたけど、そんなに飲んだわけじゃないので気分は良かった。ジャーナリストたちは午後には家に帰り、私たちはエスニック調の歌に取りかかり始めた。私は“same-jojk”からインスパイアされた声だってやる。だって砂漠とラップランドが混ざり合うようなもので、それは常に音楽という大きな部分を占めるから ;=) 夜はテレビの前で過ごし、ベッドへ入った。

2007年3月14日

目覚めるとひどい頭痛で最悪。体も痛むのですぐに鎮痛剤を飲んでベッドに戻ってまた眠る。数時間寝てもどうにもならず、新曲のレコーディングといっても動けず、この日はオフにして休んでいなければならなかった。かぜ薬を飲んで一日中テレビの前で休む。ひどい日だったけど、まだ日数はある。

2007年3月15日

まだ気分は良くなかったけど、朝はずっと休んでレコーディングを再開したのは13時30分。ここでレコーディングしたのはボーナス・トラックになる歌。とてもハッピーで素敵な曲で、フィンランドっぽさと北欧らしさをとても感じる。作業は上手く行き、終わってみると19時30分。さあ、もうちょっと休もう。

2007年3月16日

朝はのんびり過ごす。いつものように歩くのは気持ちが良い。13時30分、レコーディング再開だ。今日の歌は自分にとってキーが高くて、かぜのせいもあって声が心配だった。でもウォームアップしてみるとまた良い感じの声になってきた。この歌は大人しい雰囲気で、デモを録音したときにすぐに歌うのが好きになった曲だ。歌詞もとても良く、コーラスのメランコリックな雰囲気も印象的。だから歌うのは楽しかった。ディナーを挟んでまたレコーディングし、サウナに入ってからベッドでテレビを見る。だいぶ良い気分になってきたし、残り2曲となってハッピーだ。

2007年3月17日

2度目の週末、でも日数が早く過ぎてしまったためレコーディングを続ける……。この日は Emppu が曲を書いて Tuomas が詞を付けた曲。デモ録音の時に初めて歌ったとき、アップ・ダウンが激しい異質なメロディで歌うのは大変だった……でも Tuomas はしばらく考え込んだあと、もっとストレートに歌えるようにしようと言ってくれて、メロディを変えることになった。そしてこんなにクールな曲になった……。この曲は一番不思議な曲だと思うけど、同時にビートとメロディにとても素晴らしい部分がある……。なので私たちは1日を掛けて色んなことを試してみた。「ええ、こんなのをやるの?」と言ったと思ったら「おお、クールだね……」となったり。とても楽しい1日で、行った実験のうちの一つはよく考えてみると途中で起きた問題の解決に役立ちそうだ。でも歌い終わったとき Tuomas は「デモ・キーボード」 を録っていて、私と彼の間のフィーリングは気味の悪い要素を持ち合わせた素晴らしい曲というものだった。それは映画『呪怨』と Tim Burton(ティム・バートン)の映画の間のコンビネーションのように思えた……。今日もまた良き日を終えて休息の時間だ。録り終えた曲数を数えたら、11!!

2007年3月18日

日曜日、そして私のボーカルを録音する最終日!!! 残る1曲はボーナス曲。でも原作曲者からリリースの許可を得ていないのでリリースできるかどうか分からない……。でも私たちは吉報を待ち望みながらレコーディングする。これはとてもとっても美しい曲で、Tuomas も良く出来ていてこの曲にばっちりハマっている。自分にとっては少しナーバスになる曲。というのもエンディングでかなり高いところまで行くことと、いくつかの乗り越えなければならない難しいパートがあるから。でも取りかかるとみんなが手助けしてくれて、曲の流れに合わせて上手く歌うことが出来た。同じようにハーモニーを歌い、Tuomas はデモ・キーボードを録音した。すごくいいサウンド! きっと作曲者は yes と言ってくれるはず。だってこんなに良い出来なのにリリースされなかったらガッカリしちゃうから……。

2007年3月19日

私がレコーディングする部分は終わり、今は Marco が戻ってきて歌のあちこちに声を入れている。彼が現れたときはいつもそうだが、とても素晴らしい歌声で、その声は曲に多くを付与してくれる。彼の録音と同じ時間に、私は接待しないといけない来客が……レコード会社の人たちとジャーナリストが会いに来たから。とても素晴らしい、私たちみんなが素晴らしい日を過ごした。プロモ写真の服について話し、論じ、インタビューを受け、写真について話し……一日中動き回り、夜はみんなで素敵な食事を取った。そしてみんなが帰った後はゆっくり休み、ベッドへ向かった。

2007年3月20日

レコーディングしたものを全て通して聴き、いくつか小さな修正をする。そしてみんなが全て OK と言い、あとはミキシング・テーブルでマスタリングとなる。この日は主にみんなに届けられる外装や装飾について話し合い、一緒に最後のディナーを取った。そしてこの晩はパーティ!! とても素敵なパーティだった。この数週間は良く歌うためにしらふで通したことはちゃんと言っておかないとダメだけど……。でもこの夜は解放されて飲みまくってみんなではじけまくった……。

朝早くまで眠らずにいて二日酔いで気分が悪かったとしても、その価値はあり!! とても素敵な夜だった!

2007年3月21日

そう……3週間のレコーディングが終わり、ずっと家から離れていたのももう終わり……嬉しい気持ちと悲しい気持ちが同時に…… ;=) もちろんいろんな感情が一緒くたになって……どんな時も大変な作業が山とあってもとてつもないほど報われて……。でも基本的にここを去るのはとても寂しい。何日も過ごして、たくさん笑い、ホラー映画を観て恐怖のあまり爪を噛んでいたり、とびきりの食事をいただき、私の新しい家族とともに過ごし、様々な歌い方を試し、私の出せる声を全て使い……なんて素晴らしい時間だったんだろう!!! これだけあっても、まだまだ単なる始まりに過ぎない……じゃあまたね!!!