Studio 6 : 9-20.9.2006 - Drums / Jukka

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スタジオ 6:2006年9月9~20日、ドラムス / Jukka

2006年9月9日土曜日。俺たちはデモ録音後、約2か月の休暇の後に集まった。 スケジュールにはいつものような楽器のセッティングと下らないお喋りが織り込み済みだ。 もちろん演奏も何曲かやってみるつもりだ。 翌日曜日は所用によりプレイ出来ず……。

Thinking

月曜日から水曜日。通し演奏をやり、最終的な編曲を行う。デモを作ることがいろいろと役に立つことに気付いただけでも大したものだ。アレンジを一からやり直すことで素晴らしく良くなっているサウンドもある。時に新曲のデモ作りが時間の無駄のように感じることがあっても、素晴らしく聞こえるサウンドのようでいて完全にナンセンスだったことに気付く唯一の方法でもある。幸運なことに、この時点でもまだまだ変えるべき点が見つかった。

木曜日の朝、ホテルにいた俺はPetrax Studios へ Ewo の車で送ってもらう。Tuomas はヘルシンキに留まり、 「Rokkikukot」というドナルド・ダックの新刊本のリリース・パーティに参加した。俺と Ewo は途中のリハーサル場所でドラムスを拾い、Hollola へ向かう。みんなもヴィデオ・ブログで知っているとおり、この道中もまた馬鹿で意味のない会話だらけだった。でも本当に楽しかったし、それだけのことだ。そして Petrax Studio に到着し、機材を運び込む。 Ewo はヘルシンキへ戻り、Tuomas とドナルド・ダックの本のリリース・パーティへ参加する。 夜になり Kai Hahto(Wintersun、ドラムスのチューニング管理という名誉を受けている)が到着した。

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金曜日。朝から Hahto 氏とドラムスをセットし、求めているサウンドを探し始める。昼になって Karmila 氏とTuomas、TeeCee 氏が到着し、ドラム・サウンドに最後の変更を加える。これは Hahto 氏に多大な感謝。リアルなサウンドにする予定だったが、手をかけた以上のものが得られた。日が暮れる頃、素晴らしい曲を一曲録音してからサウナへと向かった。

朝一番の太陽光が土曜日の朝を照らし、実質的な第一日目が始まる。簡単なサウンド・チェックを行って、サウンドに大きな変更をしなくてもいいことを確認し、1曲目から開始する。1曲目はロー・テンポで、北アフリカの光景のBGMに使えそうな曲。技術的には難しくないが、ロー・テンポなため、スムーズにビートを刻むようにしなければならない。2曲目は14分にもなる「マンモス」で、基本的なビートから Pantera のような超ヘヴィなリフ・ブラストなパートまで変化する曲だ。しかし難しいパートの変化も実に上手くいき、レコーディングも簡単に済んだ。続いてレコーディングしたのは、デモでは“Woods”と名付けられた、伝統的なフィンランド風の楽曲。この日の最後はカヴァー・ソング。これは本当の意味での「ソング」ではないが、これまでとは違う素晴らしい芸術性がある。オリジナルには詞がないので付け加え、オリジナルが持つ曲の雰囲気を忠実に歌にしていく。

Is it ok?

一日の終わり、その日の成果に全員がすごく満足した。俺たちは特に急いでいるわけでもなかったので、ドラムスのレコーディングのために10日間予約した。しかし一日の内そんなに長く作業をしてるわけでもないのに(4~5時間)なのに、4曲の録音(1曲14分のモンスターを含む)が終わったものだから、みんな本当にハッピーだった。

土曜日に作業を始めてからというもの、昨日までの結果に満足していた。まず最初の曲は Marco の素晴らしいリフと Tuomas の極上のコーラスから出来た曲。この曲のCパートでは、伝統的な16分音符のダブル・バス・ドラムのビートではなく、16分音符のダブル・バス・ドラムとスネア・ドラムを組み合わせた、ちょっと興味深いものに変更した。プレイが難しいビートではないが、これは確かに面白い。次は Emppu が書いた曲を録音。 ここにはオールド・スクールからのヘヴィな影響が強く出ている。特に最後のコーラス前のCパートはかなりいい感じのブラストが入ってくる。3曲目はおそらくニュー・アルバムの中で最もストレートで、ヒットする可能性が非常に高い曲。最後にバラードを録音してこの日は終了。この曲はドラムスのパートがほとんど無いので簡単だった。

この日の結果もまた非常に満足出来るもので、翌日はもう少しチャレンジングに臨むことに決めた。サウナに行ってる間に Emppu が来て、Dream Theater の新しい DVD をチェックする。そして杯を交わし、既に決めたとおりチャレンジを続ける。それでもチャレンジの追究は終わらない。未明になってもまだ続き、素晴らしいブルーズの曲のレコーディングまで行った。これはとても上手くいったから、いつかリリースしてみんなにも聞いてもらえるだろう。残念ながら次のアルバムには入らずに終わるだろうけど……。

ぐっすりと4時間眠り、月曜日の朝が訪れた。口に砂が入ったようでぼんやりするので自分自身をスタートさせる。それでも目を開ける前からチャレンジ探求の成功を疑わない。プロはいつでもプロだ!

Hemmoklaani

他の奴らが自分をスタートさせられない問題が発生し、レコーディングの開始が遅れる。ようやく足を引きずりながらスタジオ入りしてレコーディング再開。最初の曲はたぶん一番シンプルな曲で、この簡素さがかなり上手くいってる。2曲目は、Wish I Had An Angel にあった雰囲気を持っている曲。苦悩の最後は、次のアルバムで最初のシングルになる可能性が高い曲。ヴァースとCパートに素晴らしいバス・ドラムのリズムが入っていて、ニュー・アルバムの中でも最も難しい内の1曲なのに、何故かこれも単純なドラムスに思えてしまう。

パーティという雰囲気でもなかったので寝る。これでレコーディング最終日は100%の力を出せるだろう。

火曜日の朝、目覚めた俺たちは笑顔で顔を合わせる。レコーディングの残りが2曲しかなく、あとはパーティだけだから! まずは穏やかなバラードから始める。テンポが非常に遅いので、スムーズにビートを運ぶよう集中する必要があった。スロー・テンポで演奏しているとビートが不安定になりやすく、こうなると曲全体が不安定になってしまう。これは上手くやることが出来、少し休憩を取ったあと、最後の曲に取りかかる。Nightwish としてはとんでもない速さで、プレイヤーの限界ぎりぎりまで行く曲だ。これを終えたらパーティの時間。まずは近所の酒屋へ小旅行してからサウナへ。時間が早かったので、もう一度スタジオですごいヤツを録音。そのうち何らかの形でリリースされるかも。

水曜日の朝。全員車に乗り込んで、別れを告げて家へ旅立つ。そこは退屈なようでいて、とてもハッピーで満足できた。バンドに商業的なポテンシャルが無くなったとしてもまたドラムスのレコーディングが出来るだろう。悪くなってたらね。

写真