Studio 6 : 29-30.10.2006 - Tuomas
スタジオ 6:2006年10月29~30日、Tuomas
今ドイツのハンブルグからフィンランドへ向かう飛行機の上でこれを書いている。週末は King Foo の Ewo と Toni と一緒で、出版社や Nuclear Blast の人たちと打ち合わせをした。Nightwish の新しいデモと2007年の予定を聞きたがっていたんだ。とんでもない音量で聞いたせいでステレオが壊れたけど、打ち合わせも上手くいき、会社のボス達はハッピーだったようだ。反応はものすごく褒めちぎるような感じで、これが自然と信頼という重荷になってのしかかってくる。あとはシングルになる曲を選んだ。
議論は夜になってもホテルの部屋で続いた。Talouselämä 誌(経済と生活という意味のビジネス誌)のカバー用に撮影するが、彼らの会話からは外れた。何故なら導師 Holopainen は彼らの話す業界用語が全く分からなかったからだ。金の話から外れることができてよかった。私にとっては賢すぎるものだ。数分後、知らないうちに Clochard というバーにいた。釘を丸太に打ち込んで(hammering nails into a wooden log)は乾杯する。ハンブルグにある伝説的ロック・ショップ経営者の Kapanen と HIM の Ville も一緒だ。Kapanen は常にこのひどく単純なのに思わずのめり込んでしまう hammer-a-nail-into-a-log ゲームの勝者だ。でもちょっと言わせてくれ。素面だったのは彼ひとりだけだったんだよ。
そしてまた別のバーへ旅する。そこで Ewo と Toni も合流した。そこにいた、アルミのポールにぶら下がってる女の子の誕生日らしい。Ville と一緒にハッピー・バースデーを歌った(いや、歌ったのは Ville で、私はくたびれたエビンルードのエンジンみたいな音を出していた)。そうしたらジェスチャーで今夜の飲み物を無料にすると言ってくれた。こうやって安くする方法があるんだ、と思ったよ。
数週間前、Emppu がいる Kerava のスタジオを訪ねて、アルバム用のギターのレコーディングが進捗してるか確認した。15曲中13曲のバッキングが終わったという。そのうち4曲は2つの違うサウンド(Bogner と ENGL、MesaBoogie と Marshall)で録ったらしい。加えて2曲のギターを特別なサウンドをまぶして録音し、さらにリードやソロを入れる。アルバム“Once”のレコーディングと同じ方法だ。これまでにレコーディングされた彼のサウンドはどれも本当に素晴らしいし、とても丁寧に作られている。Jukka も努力の末に上手くなった。彼らをとても誇りに思う。
その翌日、別のボーカリスト候補をテストする。スタジオで何曲か歌ってもらった。驚くほどよい声だった! スローな新曲を心を込めて歌ってもらうと、ソングライターとしてはプロデュースを忘れて唇を噛み締めるばかりだ。
別れを告げてスタジオに戻り、Emppu と全曲を通しで聞く。ギターのリードやソロが入るところをマークしておくと、彼が後からレコーディングするんだ。飽き飽きする作業だが、伝統的なフィンランドの歌である Tapio Rautavaara の“Rosvo-Roope”をウィスキー臭いごみバージョンで歌いながら終わらせる。恥ずかしい話だが、触れてはならない伝説もあるはずだ。
家に戻り、新曲の歌詞を全て確認する。13曲が完成、あと2曲が進行中だ。最大限の力を尽くせたことが実感できて満足だ。3行ほどやり直したが。というのもロンドンからとても丁寧なメモをもらい、歌うにはあまりにも不適切な行がある、私たちはエクソシストの続編を作ろうとしてるわけじゃないから、というようなことがそこに書かれていた……了承し、大きな思いやりの気持ちで書き直した。この芸術家はまた過ちを繰り返したのだった。それともこの時になって知ったというのだろうか。
アルバムのカバーとブックレットのアートワークが今こうして書いているうちに完成した。ToxiCAngeL とその妻の Gina(Highest Hopes と End Of An Era を手がけた)がまたアートワークを担当するんだ。とてもいい感じだ! ロサンゼルスの Big Blue を見渡し、Jussi Tegelman 氏がアルバムのための音風景を完成させてくれた。効果音 CD などからサンプルするのではなく、この曲のためだけのオーダーメイドのものを望んでいたところ、幸いにも Jussi が手伝ってくれることになった。彼は映画などのサウンド・エフェクトのプロなんだ。
そして今現在。Marco が Tarot のために休んでいたので、これから2週間くらい掛けてベースを録る。そうしたらあとは Abbey Road のオーケストラ・セッションを待つばかり。ロンドンに行ってしまえば、キーボードとかボーカルとかソロとか重要なものはもう必要なし。 Pip Williams は毎日のように連絡してきては、コードやら音高やら新しい編曲のアイディアやらを確かめる。もうバンドの一員のように燃えていて、ただただアルバムにポジティヴなんだ。オーケストラと合唱団のおかげで、アルバムのゲストリストが Kitee の電話帳並みの厚さになりそうだ。進行があちこちに向かいすぎてややもすると見失ってしまいそうになるが、信頼は強い。雰囲気もいいし、きっと今までになく「バンド・アルバム」になるかもしれない。
コード進行を Pip のために書いて、歌詞の欠けた破片を埋め、Kotiteollisuus のツアーのリハーサルをする。近い将来まで日程は埋まりそう。伝えられることがまた出てきたら連絡します!
皆さん、お元気で。
Tuomas, 29.-30.10.2006
今月、最も印象的だったもの……
映画:「いまを生きる(Dead Poets Society)」「Wolf Creek」「きみに読む物語(The Notebook)」
本:ウォルト・ホイットマン(Walt Whitman)著「草の葉(Leaves Of Grass)」 、ロビン・ホブ(Robin Hobb)著「Fool's Fate」
音楽:Tarot「Crows Fly Black」、Kotiteollisuus「Iankaikkinen」サウンドトラック「レディ・イン・ザ・ウォーター(Lady In The Water)」、Nightwish デモ
テレビ:Maajussille Morsian(農夫ジョンの花嫁?)