Interview with Tuomas Holopainen (Cursed with Oblivion)

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Tuomasインタビュー (Cursed with Oblivion)(2004年5月12日)

ニュー・アルバム“Once”の特徴や音について説明していただけますか?

とてもたくさんあるよ。つまり、様々な方法で多角度から見れるということだ。同時に今までの中でも大変だったアルバムでもある。ギターのリフもたくさん入ってるよ。本当に強烈なパンチだ。ベース・ギターやドラムも今まで以上に鳴りまくってる。とてもハードなアルバムだよ。少なくともNightwishとしてはね。その一方でオーケストラもフィーチャーされていて、アルバム全体に特別な空気を与えている。11曲中9曲にオーケストラの演奏が入ってるよ。

“Once”を書くのは難しかったですか? 作曲に与えたインスピレーションは多かったですか?

曲を書く過程の中で、色々と楽しめたよ。書くのは非常に大変だったが、いつでも自信は持っていた。曲を書いている間ずっといい感触を得ていた。始めのうちが非常に大変だった。巨大な作曲家の壁だった。何かを創り出そうとしても、何も出て来なかった。挫折し、落ち込んだ。そして“Dead Gardens”という、アルバムの7曲目に入ってる曲を書き上げた。これは作曲家の壁についての曲だ。この曲を書くことによって氷を割ることが出来、全てがスムーズに行くようになったんだ。

“Century Child”は本当の意味でのコンセプト・アルバムではありませんでしたが、そこにはテーマ――Innocence――があり、また多くの曲でそれが戻っているようです。“Once”の歌詞にはどのような特徴がありますか?

明確なテーマを持つアルバムではない。全ての曲を貫く一線(red line=アイスホッケーのリンクを二分する赤いセンターライン)もない。11曲の異なる曲に、それぞれ異なる物語がある。以前に書いたのと同じテーマのもあるけどね。自分自身、自分の見方、願い、夢……そういった個人的なもの、自分の興味があるものだ。それらに共通のテーマがあるわけではないけどね。

新しい曲に、バンドの他のメンバーからの影響はありますか? 今回の曲を作る過程を通してどの程度貢献がありましたか?

そうだね、今までと同じくらい。作曲の95%、作詞の全てを手がけた。最後の“Higher Than Hope”はベースのMarcoがほとんどを書いたよ。リフのいくつかはギターのEmppuが書いた。いつもと同じだね。

Tarjaは新曲で少しメローな感じで歌っています。“Century Child”よりもオペラティックではないかもしれません。これはTarjaの選択ですか? それとも何か特別な指示を与えたのでしょうか?

それについてはいつも2人で話し合ってる。どのように歌うべきかということだね。一番重要なのはその曲が求めるとおりに歌うということ。例えばボーナストラック“White Night Fantasy”、これは自分の頭の中ではBjorkのようなスタイルだったから、彼女はそうした。単に今回この曲はこういう歌い方を要求していたということ。でも、“Century Child”にはクラシカルでオペラティックなスタイルが全く無かったから、このアルバムでは少しそれを取り戻そうとも思ったんだ。“Romanticide”や“Dark Chest Of Wonders”といった曲を聴けばクラシカルな歌も残っていることが分かる。

レコーディング中のことについて何か教えていただけますか?

6ヶ月くらいスタジオに入っていたんだ。これだけ長く連続してスタジオに入っていたことはなかった。それにスタジオも4ヶ所使ったんだ。そのうち2つは今までにも使った所で、1つは地元のスタジオ(Caverock, in Kitee, ed.)、そしてHelsinkiのFinnvox。ギターの一部はギタリスト自身のスタジオで録ったし、オーケストラとクワイアは全てLondonのPhoenix Studiosでレコーディングした。オーケストラの録音は2日かかったんだけど、どちらにも立ち会ったよ。まあ、編曲はすべて終わっていたから何もすることはなかったんだけどね。演奏は素晴らしかったし、とてもプロフェッショナルなものだった。どの瞬間も楽しめたよ。

最初は歌詞からですか、音楽からですか? それとも曲によって違いますか?

いつも一緒。まず最初にストーリーか、何についての歌かが頭に浮かぶ。これが最も重要なところなんだ。そして絵を描くようにいつも自分の頭にあるアイディアを描いていく。音楽、歌が完成したら、最終的な歌詞を書く。

曲を書くこと、レコーディングすること、ライブで演奏すること、どれが好きですか?

作曲のプロセスを選ぶかも。本当に曲を書くことを愛しているし、身近に感じているんだ。曲を書き上げた時、とても良く出来た物を作り上げるということを達成した時、その時の感じはとても素晴らしい。とても満足した感じを与えてくれる。そういう感覚が一番好きだ。でもその一方で曲が完成し、スタジオでレコードに収めることも同じくらいに満足できる。そしてそれらを声援と情熱的な迎え方をしてくれる人の前で、ライブという状況で演奏することも特に好きだ。何が言いたいかというと、結局その3つ全てが好きだ。

いま、前のアルバムを振り返っていかがですか。何か変えたいところとかはありますか?

変えたいと思うところはたくさんある。要するに満足することは絶対に無いけど、いつも最大限の努力はしてきている。アルバムの全ての曲、作り上げた全てを支持できるよ。一音も変えようとは思わない。バンドの過去をそのまま反映させたものだからね。

Nightwishは非常に人気が高いです。オランダではほとんどカルトのようなステータスがありますよ。非常に多くのバンドがNightwishにインスパイアされています。オランダのメタルシーンは知ってますか?

After Foreverはよく知ってるよ。前のツアーで一緒に回ったから。EpicaはMark Jansenの新しいバンドだね。あとはもちろんThe Gathering。彼らは既にクラシックだね。まず頭に浮かぶのがその3バンドかな。

今はどのバンド/アーティストを聴きますか?

一番多く聴くのは映画音楽。家ではほとんどそれだ。色々なサウンドトラック、映画からの音楽だ。でも出来るだけメタルシーンに追いつこうともしている。レコード・レーベルかもよくCDをもらうから、そういうのも聴くようにしてる。例えばEntwineのアルバム“Diversity”、これはすごいインパクトだった。Edguyのアルバムもいい。数日前に手に入れたんだ。

最新のドキュメンタリーDVD“End Of Innocence”は奥深く、パーソナルなインタビューもあり、とてもエモーショナルなものでした。撮影する前に、自分自身を多く見せるという意図があったのでしょうか、それともあなたのために作られたのですか?

偶然の一致だよ、正直言って。ドキュメンタリーに映っているのは私とJukkaで、私たちの本を書くことになってる人に向かって話している。だからあんなにオープンなんだ。こういうビデオのような方法でDVDに収められようとは思ってもみなかったよ。この作者は、カメラマンを一緒に連れてきて全てを撮影していった。私が映像を見て、レコードレーベルが見て、とてもクールになりそうだと思ったよ。バンドのメンバーにとってもいい思い出になった。バンドのことを知らない人やバンドを気に入らない人にとっては最悪につまらないだろうとも想像してたけどね。でもファンにとってはとてもユニークなものだっただろう。

音楽ということであれば、いまの夢はなんですか?

Oh、いっぱいあるよ。多分一番大きい夢は映画用にサウンドトラックをいつか書くこと。色々ある夢の中でも一番大きいものだ。Nightwishとしては、本物のオーケストラ、本物のクワイアといつか共演してみたい。出来れば数年以内に。あとはいい曲をどんどん書き続けたいね。

時間をいただき、本当にありがとうございました。幸運を祈っています。オランダ、ベルギーで会えるといいですね。

お安い御用さ。ありがとう!

Cursed with Oblivion