Interview with Tuomas and Anette (Hall of Metal)
Tuomas & Anette インタビュー (Hall Of Metal)
シンガーの脱退によるバンドの再編成、特に Tarja というとても人気のある声を失うという困難。しかし彼らは新しい歌声を手に入れ、新たに“Dark Passion Play”を世界中で発売する。私たちは内気な Tuomas、そして周りを魅了する Anette にインタビューを行った。
- シンガーの脱退という容易でない出来事が起こり、この2年間はやはり Nightwish にとって大変な時期であったと思います。我々のような報道機関は Nightwish と Tarja の動向に対して非常に関心があり、それはまるで昼ドラのようでした。そして今ようやく実を結んだわけですが、Anette が表れるまでの困難な時期はどのようなものだったのでしょう?
- んー、まずみんな知っているとおり、人間関係というのは世界で最も困難で複雑なものだということ。自分にとってもその影響は非常に大きい。Tarja がバンドを去ったときに感じたのは、悲しみと苦しみ、あとほんの少しだけ苦痛が和らいだということ。ツアーの終わりは本当に苦難の連続だった。共存は無理だった。ようやく新しいシンガーを発表することが出来て、本当にハッピーだよ。
- Tarja 脱退後、コンタクトは取っていますか?
- いや、全く接触していないよ。あ、クリスマスにカードを送ったんだ。
- 返事は?
- 来てない。
- あなたの新作に対して彼女がどのような意見を持ってるか聞いてますか? バンドのサウンドに自分の声がないことに気付いて奇妙に感じるだろうと思います。
- 正直言って、彼女は興味を持ってないと思うよ。彼女は彼女の生活があるし、ソロ・キャリアもある。もう Nightwish に興味はないんじゃないかな。4~5年経ったら友人同士として一緒にコーヒーでも飲めたら嬉しいけど、それは時間が経ってみないと分からないね。
- 応募者の中からシンガーを一人だけ選ぶのは大変だったのでは? 素晴らしい声もあれば最悪な声もあったことと思います。
- 酷い声の酷いシンガーばかりだったよ。これはテレビ番組“Idols”の責任だと思う(訳注:“Idols”はフィンランドでも制作されたアイドル歌手の発掘番組)。誰もが歌える、誰もがスターになれる、誰もが名声を得られる、あの番組のせいでみんながそう信じてしまった。空恐ろしい歌声がほとんどで、2000本の応募のうちまともなのは10本だけ、かなり低い確率だな。
- Nightwish のコンセプトはフロントウーマン無しでは不可能なのでしょうか?
- そう、それがバンドの個性であり方向性だから。
- 例えば Marco Hietala のように、男性が代わりを務めることはできないのですか?
- ネット上でそういうつまらない噂があったのは知ってるし、Marco が歌えばいいという声も聞いている。でも言えることは、そんな可能性はありえないということ。
- Anette は、メタル界で最も嘱望されたフロントウーマンの一人であった女性の代役として Nightwish の新しい歌声になり、そしてそれが全世界に公になった今、このことについてどう思っていますか? 人々の反応や意見についてナーバスになりますか?
- 最高よ、クール。プレッシャーもいっぱい感じるけど、気分は悪くないし、とてもワクワクしてる。
- あなたの声は Tarja と比べて明らかに異なるものですが、以前の曲はどのようなサウンドになりそうですか?
- 音楽も曲も調も変わらない。どの曲に対してもあたしの声を合わせればいいの。
- Alyson Avenue の歌をいくつか聴きました。とても素晴らしい歌でしたが、あなたはバンドを脱退したのですか? それとも Nightwish 優先になったということ?
- Alyson Avenue はもう存在してないの。いつも不定期なバンドで、プレイしては別れ、また集まり……。みんな年齢を重ねて仕事とか優先しなきゃいけないことが出来たし。リリースした2枚の作品も今は手に入れにくくなってるけど、将来的にはまた再発売されると思うし、今はその大きなチャンスだと思う。セカンド・アルバムのサウンドはみんな気に入ってなかったからリマスタリングしてね。
- バンドはまだ継続してるのかと思ってました。バンドを飛び出して、今までにないくらいの人気になってるわけですが、これについてはどうですか。
- みんなこのバンドの話をしていて、それは普通のことだと思うけど、そんなにたくさん売れるとは思えない。彼らは作品の再発売について話をしてきてるけど、何か手伝えたらいいと思う。ただバンドのメンバーもまた新しいバンドに集中しているから。
- 今の状況を利用して。
- そうね。作品のリリースは自己投資になるし、利益はバンドの元に入るからね。
- あなたはスウェーデン出身ですが、フィンランドに引っ越しを?
- いえ。
- リハーサルとかはどうしてるんです?
- えっと、レコーディングの時はフィンランドでバンドに合流して、ツアーも同じね。でも一人で家でリハーサルすることだってあるし、そうでなくともスウェーデンからフィンランドまで1時間しか掛からないから、とても早いのよ。
- あなたの声はバンドに新鮮な風をもたらしたと思います。新しい声を欲していた Nightwish にフィットし、Marco の声との相性もいいです。
- どうもありがとう。そう言ってくれるととても嬉しい。
- “Dark Passion Play”というタイトルに隠されたアイディアやコンセプトは何ですか? カバーに描かれた錨のような物や宙に舞う紙は?
- “Dark Passion Play”というのはアルバムのコンセプトを表す言葉遊びで、暗く、情熱的という Nightwish 自身の意味が隠されている。言い換えれば“dark game of passion”“dark play of passion”といった感じ。それはともかく、カバーに描かれてるのは pendulum (振り子)だよ。台所に置いてあるようなものじゃないからね。
- アルバムを聴いて最初に驚いたのが、オープニング・トラックが“The Poet And The Pendulum”という14分近くにもある Nightwish 最長の曲だということです。このアルバムに於ける“Ghost Love Score”のような存在でありながら、曲の進行がとてもバラエティに富んでる感じがしました。
- その通りだね。“Once”に収録した“Ghost Love Score”にとても似ている。1曲目に配したのは、古い考えを打破しようとしたから。
- 1曲目にするのにはリスクが伴うと思いませんでしたか?
- 思わないよ。なんで? この曲は確かに長いけど、少しずつ進んでいく構成だからね。
- 長い曲を最初にしても特に問題はないですね。書くのが一番大変だったのはこれですか?
- うん。このアルバムはよりプログレッシヴになっていて、長い曲が入っている。こうすることを私たちが求めたんだ。
- もう知ってると思いますが、この曲の4分間だけをインターネットに公開した「ナイス・ガイ」がいますね。
- ああ、知ってるよ。そいつに会ったら顔面に一発食らわせるよ。こういうのって本当にうんざりさせられる。出来るだけのことをしようと努力しているのに、誰かがやってきて曲をバラバラにして酷い音質のままネットに載せてしまう。最低だよ。バンドの本当のファンは CD が届くのを待ち続けているのに、こんな酷いのを耳にしてしまったらアルバムを公平に判断できない。
- 曲の断片を聴いた人からの意見は見ましたか?
- うん。読んだらみんな気に入ってくれたようだったので、それはいい知らせだと思ったよ。
- アルバムについて意見を言わせてもらうなら、バンドの新しい方向性は正しくて、Anette の声は曲をハード・ロック風にしています。
- そう、歌声は取っつきやすくなり、ダイレクトになった。より人間らしくなったんだ。でも曲作りは複雑で叙事詩的だ。
- アルバム“Once”にて、あなたは踊れるようなコマーシャルな歌を入れることにしました。“Wish I Had An Angel”のことです。“Bye Bye Beautiful”も同じ意義を持っているのでしょうか。
- “Wish I Had An Angel”は“Once”のシングル。“Bye Bye Beautiful”もニュー・アルバムで同じ役割を持つ。そういうことだ。
- “Amaranth”はとてもクールな歌で、Anette の歌声に可能性が秘められていることが明らかに分かります。Tarja の歌声を念頭に置いていたらこのような曲を書くのは不可能だったのではないでしょうか。
- 私がそれ以上言うことはもうないよ。あなたの言うことが全てだ。
- あなたは The Corrs のファンですか? というのも“Amaranth”のコーラスは The Corrs が持ってるものを多く残しているからです。同じことは“Last Of The Wilds”や“Meadows Of Heaven”にも言えます。
- 特にファンではないけど、彼らの作品はとても好きだ。メロディに共通点はあるかも知れないけど、私たちが意図するところは、ケルティックな音をケルティックなヴァイオリンでフィンランド風に仕上げること。それが私たちが受け継いだ遺産だからね。
- 私がこう聞いたのは、アイルランドの民謡がフィンランドの民謡より人気があるのかと思ったからです。
- 率直に言うと、アイルランド音楽はフィンランドでとても人気があるんだ。
- “Dark Passion Play”はバラエティ豊かで“Once”に比べて複雑になっています。新しいシンガーを迎えてメタルらしさが失われるという声を打ち消すのに充分ですね。
- もちろんだ。そう言う噂が出るのはファースト・シングルが“Eva”だったからだ。これはバラードだったけど、他はどれもパワーに溢れてるよ。
- “Master Passion Greed”のようなとてもヘヴィな曲は、オーセンティックでメタルらしい爆発、そしてハードでストレートですね。
- その通り、とてもストロングな歌だ。
- 新しいメタルのスタイルを創り出しますか? シンフォニック・スラッシュとでもいうような。
- シンフォニック・スラッシュ。最高だね、気に入った。
- 私はこの言葉が嫌いなのですが、Nightwish はゴシック・メタル・バンドなのでしょうか? 女性が歌うだけでそう呼ぶ人までいます。
- Nightwish はゴシック・メタル・バンドじゃないよ。Paradise Lost や Type O Negative、Lacrimosa、そういうバンドを指す言葉だよ。歌詞はポスト・ゴシック風かも知れないけど、音楽性は違うね。
- あなたたちがスペインに来る前、“Oceanborn”を聞いたときは、そのサウンドから Stratovarius との共通点を感じました。ただフロントウーマンがいましたが。
- そう定義されても悪い気はしないよ。Stratovarius は私たちのアイドルだから。
- なぜ“For The Heart I Once Had”をファースト・シングルにしなかったんです?
- おかしな話だよ! みんなこの曲を出色の出来と言うけど、私たちはそれほど気に入ってないんだ。アルバムから漏れるかも知れなかったんだよ。
- 曲の密度は For My Pain を思い出させるものですね。
- その通りだ。
- ちょっとこの話をさせてください。Tuomas、あなたは For My Pain のセカンド・アルバムについて計画を立てていますか? 私は新曲をとても聴きたいと思っています。私だけでなく多くの人がです。
- はっきりとは言えないんだ。みんなそれぞれ仕事や家族のことで忙しいから。
- インタビューは以上です。新作が上手くいくように祈っています。とても素晴らしい最高の作品だと思います。では Hall Of Metal の読者に一言お願いできますか?
- みなさん、ツアーで会いましょう。あたしたち全員素晴らしいショーが出来ることを期待しているし、ベストを尽くすつもりです。Tuomas やみんなが書いた歌をあたしの声に乗せてみんなの心に届くように頑張ります。
Elaborated by Lobo, OneWithMisery, Translated by Danyfender