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2011/9/8

Imaginaerum アップデート

“Imaginaerum” ―― 監督からの言葉

4年前、フィンランドのロバニエミにて、Nightwish のミュージック・ビデオ“The Islander”を撮り終えたときのことです。Tuomas Holopainen と私は一緒に座り、次回作の全曲においてミュージック・ビデオを制作しようと考えに考えを重ねていました。振り返ってみるとその時点では単に野心的な二人の遙かな夢物語に過ぎませんでしたが。

その1年後、Tuomas は電話を掛けてきて言いました。「いよいよです。今回のプロジェクトについて、こちらに来て一緒に話し合いませんか」それから数か月は、12本のクリップに対してどう取り組むか、成すこと全てがどれだけ困難を伴うのかを考えながら、その一方で興奮で満たされていました。

ある若き少年は彼自身の夢の中で年老いてゆく……そんな物語を書いていると、時間の経過を忘れそうになりました。それは Nightwish にまつわるフィクションの物語なのですが、実はそれ以上に Tuomas 自身のことでもあり、不老の天才のことでもあり、その人物は人生だけでなく周りの人々をも愛しているのです。我々はお互いの心の内側を理解するようになると、ミュージック・ビデオだけでは世界に伝えたいことを充分に伝えきれないことが分かるようになりました。それ以上を求めるようになったのです。

命を懸けた愛、家族、想い出、音楽、目覚めて出逢う驚きの毎日と、愛という我々人類が手にした最高の手段や想像力、これらが物語の土台になります。我々の生命と老いの恐怖が入り混じった様が描写されているはず。こうした全てを強調して表現することを求めたとき、物語を伝えるにはこれ以外にないと気が付いたのです。

Imaginaerum は、痴呆を患う年老いた作曲家 Tom の物語。ここ数年間ずっと苦しめられている彼は、幼少期に逆行し、大人になってからのことはほとんど思い出すことができません。彼の音楽、友人、自身の娘にまつわる想い出を含む過去の全て、どれも脆い心の中で霞んでいます。今の彼が遺すもの、その全ては10歳の少年によるイマジネーションです。彼は昏睡状態を漂いますが、彼が失ったものを取り戻すのは不可能なようです。それとも、あるいは?

映像は2つの異なる次元を渡る旅です。Tom は、答えを求め、思い出を探すため、想像の世界を旅行します。一方で彼の娘 Gem は、かつて現実の世界で結ばれた父との絆を取り戻そうとします。時間を経るたびに距離が離れてゆく2人、なお立ちはだかる更に大きな障害が2人を阻みます ―― Tom の昏睡、差し迫る死 ―― Gem の希望も失敗を運命づけられたように思えます。しかし、Tom が持つ暗黒の鍵を通じて、Gem は父と再会するために進むべき道を見つけ出すのです。

Imaginaerum の世界へ立ち入る前に、我々自身に問いかけなければならない質問があります。人生において最も重要なことは何ですか? 最期の瞬間に想い出の力は自分を守ってくれるますか? 最も深い闇にいるときであっても想像力は人生のきらめきを見つけ出す手助けになってくれますか? 苦かった容赦の後でもまた愛を見つけられますか?

Imaginaerum は感情溢れるファンタジー・アドベンチャーで、その原動力は Nightwish の音楽です。この物語が私たちに投げかけるのは、一番小さくも最も大切だった子供時代。全てを意味し、永遠の傷跡を残したものを失うことを意味しています。さあ、その傷跡を開き、どうなったか見てみましょう。いや、まずは何故そうなったのかを。

Stobe Harju, Director

Nightwish.com

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